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©2024 Kawasumi・Kobayashi Kenji Photograph Office.

吉備高原Nスクエア

貴志 拓哉

既存のCLT技術を用いて、今までにない特殊形状を作り出しました。CLTパネルで大きな跳ね出しを作り出し、特徴的ながらシンプルな外観にするなど、CLTだからこそできる建築となりました。
チャレンジングな建物だったので、CLTの可能性を広げることができたと思います。

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建築概要

2022年に岡山県の吉備中央町が「デジタル田園健康特区」に指定され、その象徴となる建物を建設することで、地域交流の活性化を目的としたプロジェクトです。
CLTパネルが角度を変化させながら積みあがるデザインと、その角度のズレが多様なスペース、開口部を生み出しているのが特徴的な建物です。


所在地   :岡山県加賀郡吉備中央町吉川4469番126
用途    :事務所、店舗
構造種別  :木造(CLT)
階数    :地上2階
高さ    :9.79m
建築面積  :385.62m2 
延床面積  :585.02m2 
竣工    :2024年3月7日

建築主   :㈱システムズナカシマ
デザイン監修:㈱隈研吾建築都市設計事務所
設計者   :ユージー技建㈱一級建築士事務所、㈱黒川建築設計事務所
構造設計者 :㈱構造計画研究所
設備設計者 :ユージー技建㈱一級建築士事務所、㈱黒川建築設計事務所
施工会社  :ユージー技建㈱

©2024 Kawasumi・Kobayashi Kenji Photograph Office.

構造計画

角度の違うCLTが交差して積み重なるように見えるダイナミックなデザインを作りたいという建築家の思いと、プロジェクトの短工期化を実現する為、片持ちCLT梁及び片持ちCLT床を多用し、特殊形状を作り出す方針としました。
また、開放的な空間を実現するため、必要壁枚数を少なくし、壁厚を薄くできる高耐力・高剛性かつ外部に露出しない金物を模索したところ、他の金物と比較した上でGIR接合工法の採用にたどり着きました。

©2024 Kawasumi・Kobayashi Kenji Photograph Office.

北側ファサード ©2024 Kawasumi・Kobayashi Kenji Photograph Office.

ファサード

大通りに面する西側のファサードはできるだけ開放的な抜け感のある空間とすることが求められました。1、2階の壁から突き出している梁は片持ちとして設計するには鉛直荷重が大きく、梁端接合部がその曲げに耐えられないため、鉄骨間柱を設置する計画としましたが、サッシの納まりと開放感のあるファサードを崩さないように、φ110mmの鉄骨無垢柱を採用しました。
長辺方向から平面斜めに突き出している梁は先端に吊りブレースを設け、上下の床パネルの荷重を支えています。

西側ファサード ©2024 Kawasumi・Kobayashi Kenji Photograph Office.

CLT梁

短辺方向を平面斜めに繋ぐCLT梁は長期荷重のみを負担する計画とし、最大約9.5mのロングスパン梁(1400せい)においても、約10Hzの振動数を確保しています。
また、CLT梁は、同断面の集成材と比較すると耐力及び剛性は低下するものの、大断面となってもマザーボードの範囲内であれば集成材のように材料単価の上昇は無く、直交層の効果により異方性が少なく割裂が生じづらいため設備ダクトの開口を設けやすいという利点があります。

建物内観 ©2024 Kawasumi・Kobayashi Kenji Photograph Office.

工事の様子 ©2024 ユージー技建株式会社

最後に

岡山県が日本一の生産量を誇るCLTパネルを構造材および内装に全面的に用いることで、地域材を活用した温もりのある木質空間を生み出しています。
既存のCLT技術を用いて、CLTだからこそできるダイナミックな建築を実現することができました。チャレンジングな建物だったので、CLTの可能性を広げることができたと思います。

©2024 Kawasumi・Kobayashi Kenji Photograph Office.

MEMBER

木造キャプテン
篠原 昌寿

BIMスペシャリスト
草原 彰子

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