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シズコンバレーユピテル静岡研究所

竣工年 2019.03

シャーリー

静岡市にあるハイブリッド構造で、壁式鉄筋コンクリートの設計方針、在来木造の断面算定、特殊な部分詳細(ボイドスラブ・プレストレスリング梁、等)様々な解析・設計方法の知識を習得しました。
さらに、正確な応力で設計するように全体建物のFEMモデル解析を作成し、力の流れを確認しながら、設計を行いました。
今回の経験や知識を基づいて、将来、他の混構造案件に活用したいと考えております。
楽しく、解読してくださいませ。

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建築概要_ARCHITECTURE DESCRIPTION

本建物は、静岡市の中心部に建つ地上2階建て、延床面積約877㎡の「IT・IoT・AI・VR」をテーマとしたオフィス兼研究開発施設です。1Fはコンクリートの堅牢な壁で覆われた展示場、2Fはガラスのカーテンウォールに囲まれた開放的なオフィスで、主たる構造体である木造大断面フレームを現しとし軽やかさを演出した、特徴的なデザインです。また、1階平面は北側に矩形平面、南側に半円形平面を組合わせた形状、2階は直径20mの円形平面から台形の会議室が突出し、自由な躯体形状が計画されています。建物中心部の円形の大きな吹抜け空間は、ボイドスラブとプレストレスリング梁によって成立させ、2Fは大断面木製ブレースと放射状の屋根梁を採用することにより、構造と意匠のデザインを両立させました。

意匠パース

意匠図_1F平面図

構造設計・検討_STRUCTURE DESIGN CONCEPT

1階を壁式鉄筋コンクリート造、2階を木造とした立面ハイブリッド構造を採用しました。告示593号4号ロによる立面混構造ルート1を適用するため、各階の各構造種別の仕様条件を満足するよう配慮した計画としました。1階は十分なRC耐震壁をX方向Y方向ともにバランス良く配置し、2階の木構造部分は、内部に鉛直荷重のみを支持する柱(150角)を設け、外周部ファサード面に水平荷重にも抵抗するV字型の斜め木柱(180角)、コア北側は構造用合板と木ブレースを配置し、耐震要素を外周部にバランス良く配置した強度指向型の構造としました。
基礎形式は、節付き既成コンクリート杭による摩擦杭を採用しました。また、北側の矩形平面形状部分は基礎梁と基礎スラブ形式を採用し、南側の円形平面形状部分は壁と杭の応力伝達と施工性に配慮しマットスラブ形式としました。
構造計算モデル図に応力解析モデルを示します。2階床面のボイドスラブ+プレストレスリング梁部のFEM解析及び、木躯体とWRC躯体の連続性を考慮し、汎用解析ソフトによる一体モデルを最終的に採用しました。

構造図_1F平面図

構造計算モデル

CONSTRUCTION POINT_施工

ルート1を採用するため仕様規定を満足する必要があります。空間の開放性を実現しつつ、仕様規定の1つである“階高3.5m以内”とするため、面積が大きな居室は球体ボイドスラブ(t=350mm)を採用しました。更にスラブの端部曲げ応力の伝達に配慮し、耐力壁厚は250~400mmとし、各方向とも十分な壁量をバランス良く配置しました。直径20mの半円状の無柱空間を成立させるため、建物中央部の直径6.0mの吹き抜けを囲う腰壁兼用のリング状RC梁(400×1700)を片持ち梁のような応力負担に期待して配置し、現場打ちアンボンドPCにより初期張力を導入して、ひび割れの抑制とボイドスラブのたわみを軽減しました。(図ボイドスラブ・プレストレスアンボンドリング梁)

木部材は主にオウシュウアカマツ集成材を選定し、接合部は鋼板挿入ドリフトピン方式の製作金物及び、既製品金物を使用しました。木ブレース端部の接合部剛性は、「中層大規模木造研究会設計支援情報データベースKi」を参考に設定し、層間変形角等に対して十分安全となるように設計しました。屋根梁は規則正しく放射状の配置計画とすることで、合板や接合部の施工性に配慮し、かつ木梁現しの綺麗なオフィス空間を提案しました。(図木造接合部・ドリフトピン工法)

ボイドスラブ・プレストレスアンボンドリング梁

木造接合部・ドリフトピン工法

竣工写真_ARCHITECTURE PHOTOGRAPH (INTERIOR)

1F_展示場

2F_研究所

竣工写真_ARCHITECTURE PHOTOGRAPH (EXTERIOR)

エクステリア_昼景

エクステリア_夜景

MEMBER

全体統括
篠原 昌寿

アドバイザー
大西 雄一郎

営業担当
長谷川 英明

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