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北九州市立子ども図書館

竣工年 2018.10

石川 幸司

北九州市立中央図書館内にある子ども図書館の改修設計です。
改修計画のコンセプトに沿って、開放的でデザイン性・独自性に配慮した耐震補強要素を立案・設計し採用して頂きました。

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■改修の背景・経緯

本建物は、建築家・磯崎新の設計により、1975年に開館した図書館で、市中心部の勝山公園に隣接しています。
北九州市では、子どもの読書環境の充実を図ってきた中で、「北九州市子ども読書活動推進条例」が平成27年に公布・施行され、「子ども図書館」を設置することが定められました。本施設は、中央図書館の一部を改修して整備し、子どもの読書活動を総合的に推進するための拠点として計画されました。

外観

■耐震補強方針・補強計画

本施設の改修計画は、「閲覧空間を壁のないフレキシブルで開放的な空間になるように努めるとともに、子どもたちがゆったりとくつろげる、快適な読書空間を目指す」というコンセプトにより進められました。
本建物は構造耐震指標Is値が基準値を満足する建物でしたが、コンセプトに沿い、閲覧空間を遮ぎる耐力壁等を撤去し、開放的な空間を実現する補強要素で置換える補強方針としました。さらにデザイン性及び独自性にも配慮し、補強要素は「フラットバーによる引張ブレースを用いた斜め格子型ブレース補強」としました。

撤去・補強位置

補強概念図

■耐震補強設計

補強設計では主に以下の点に留意しました。
・本建物はRC造であるのに対して補強要素は鉄骨系で変形性能が異なり、採用靭性指標F=1.0相当の変形 (層間変形角1/250) 時に補強ブレースが降伏強度に達していないため、その変形時の応力(ブレース軸力の水平成分)を補強ブレースの保有水平耐力として採用しました(1700kN程度)。
・本補強ブレースは引張ブレースであり、その配置形状から梁に大きな応力が生じるため、梁に生じる応力は既存架構に負担させず、既存梁側面に設置した鋼板、ブレース左右に設置した鉄骨枠柱、既存柱側面に設置した鉄骨枠柱により基礎に伝達させるものとしました。
・形状が特殊なため各部の応力は汎用解析プログラムにより算出しました。
・第三者機関による耐震評価を取得しました。

応力解析結果(軸力)

■施工中の状況

耐力壁の撤去後の状況

斜め格子型ブレースの設置後の状況

■改修後の状況

内装仕上げと相まって、開放的な空間を実現しています。

改修後の内観(1階エントランス)

改修後の内観(開架)

MEMBER

ADVISOR
三好 祐治

ASSISTANT
小川 瑞香

ASSISTANT

  • ・榎戸 幸子

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